EUREKA(ユリイカ)




EUREKAとはプログレッシブ英和中辞典によると以下のような意味となっている。


[間]*1*2わかった, これだ, しめた. ▼California州の標語.


ギリシャ語でI have found (it). の意. アルキメデスがSyracuse王の王冠の黄金純度を測定する方法を発見したときの叫び声]


青山真治監督。バスジャック事件で生き延びた運転手・沢井(役所広治)、梢(宮崎あおい)直樹(宮崎将)が二年後に再開して共同生活を始める。さらにそこに従兄弟の秋彦(斉藤洋一郎)が加わる。その後に、再びバスで旅に出て、紆余曲折を経ながら、最後には取り戻した世界が・・・・という話。


九州の方言を使っていたので、音量を最大限に高めて僕は映画を楽しんだ、振り返ってみれば楽しんでいたかもしれないが、実際は楽しむ余裕なんてなかったのかもしれない。梢は終わる直前まで、直樹は最後まで決して言葉を発することはない。食べること、寝ることの繰り返し・・・・白い液体がシーソーのように揺れ動く置物がそれを象徴するかのように映画の片隅に数回登場した気がする。そして、直樹がナイフを持って切り刻んだ樹木から流れ出る白い液体・・・さらに「何で人を殺したらいかんと?」と述べる直樹・・・価値観のゆらぎを感じさせ、とてつもない痛みを感じた。


時間が三時間半で、ダラダラと長いというよりは、本当に終盤以外は痛くてつらくて長いという方が自分にとって正しいかもしれない。人間がただ、そこに生きているというだけでここまで素晴らしさを感じれるだろうか。直樹が食べ物屋で嘔吐した時に、リアルに僕嘔吐しそうになった。これはただの生理的現象では証明できない何かを感じた。


この映画の世界には終盤までセピア色で描かれている。そんな世界なものだから、バスジャック事件が終わった後(30分くらいだったか)で、頭蓋骨にドリルで穴をあけられたような気分になった。しかし、僕の脳手術が行われて仕上げに映画のセピア色が一気に解放たれて、世界が広がるラストは感動した。Jim O'Rourke「EUREKA」や宮崎あおいも最後に少し話すだけで本当に泣かせてくれる。つい先日読んだ本に、「『癒し』とは自分と周りとの関係性を見直すという自発的で能動的な行動であること」と書かれていたけれども、今流行りの『受動的』癒しでなく、『能動的』癒しを与えてくれる映画だと感じる。僕の心の奥底、まさにスピリチュアリティに響いたのかもしれない。

*1:何かを発見したときの喜びの叫び声

*2:しばしばおどけて