Jim O'Rourke「Bad Timing」




シカゴ出身で現在、都内の某所に住んでいると言われ、日本文化への関わりも非常に強く、親日家であると言われるJim O'Rourke。くるり「図鑑」のプロデュースや朝日美穂との関わり、映画「スクール・オブ・ロック」の音楽に携わったり、ソニックユースガスター・デル・ソルのメンバーとしての活動、などが有名な所ではないだろうか。特定の楽器音に固執することはなく、多方面に渡るジャンル分け不可の活動は素晴らしき奇人と呼ぶのがふさわしいか。90年代以降のいわゆる「ポスト・ロック」を語る上では重要な人物であると言われている。


そんな前置きはどうでもいいとして、この「Bad Timing」を最近の夜の帰り道に聴く事が非常に多い。四曲いりのアルバムであるが終盤に向かっての高まりとあまりにもファンキーな展開と同時に僕の胸が高まり、気分は最高潮に達する。①「There's Hell in Hello, But More in Goodbye」は優しいギターで始まり、その後突然の喪失感というか・空白の時を得て再びピアノや電子音が静かに混ざり合うことで美しく光り輝く。②「94 the Long Way」は優しいギターのリフが音量と速さをを強まっていく。そこに①よりもより雄大で切ないピアノと電子音のメロディーが優雅に溶け込む。さらに後半のトランペット?などの楽器が加わり高まる様、終盤に近いところからのギターの間での電子音の奏でるメロディー、終盤の冴え渡るギター。このアルバムの中でも非常に完成度が高く、エモーショナルに涙を誘う素晴らしい名曲だ。③「Bad Timing」はギターの間で電子音が立体的に揺らめき、きらめく。しかし、後半に徐々に浸透してくる混沌とした絶望とした世界。そこから④「Happy Trails」へのつながり、これもまた美しい。そして再び優しいギターの渦へ・・・そして、残り3分10秒、雄大なトランペットと電子音!この瞬間は、暗い街並み全部に電気がパッとついたような幸福感。そして感動のフィナーレへ。


まるで小映画・小宇宙を見ているような息を呑むスケールの大きさ!途中のギターに飽きる人がいたとしても、最後まで聴けば間違いなく至福。今まで出会ったことがなかった不思議さを持つ、かっこいいインストアルバム。日本を愛してくれてありがとうジム、僕もあなたを敬愛します!