HIPHOPを聴きに。

もう、はてなの見出しの付け方も忘れてしまった。パスポートを取りに実家に久々に帰ってきたので、せっかくだから何か書こうかと思う。昨日人生で初めてHIPHOPのクラブイベントに行った。よく考えれば、HIPHOPライブはニコニコ動画you tubeの世界でしかほとんど知らなかったし、それもtha blue herbを少し見たくらいだったり、CD上でしか知らない音楽がどんな雰囲気なのか行ってみたかった。偶然友人の友人がeccyという、新生トラックメイカーたるもので、そんな縁もあって昨日の夜から今日の朝まで代官山unitに行ってきたのであった。


代官山unitに着くとオールナイトのイベントらしく、顔写真つきの年齢チェックがあった。周りにはいわゆる「B-BOY」的な格好の人がいて、彼らにはファッションに対してか自分に対して自信が溢れているからなのか、それとも髭や髪型のせいからなのか、僕のように童顔に見えるような人はいない。と言ってはみたものの、実際目を合わすのが怖かったため僕がしっかりとした観察を行ったという確証は無い。セキュリティーチェックの人は、いわゆるガタイが良いといわれる人が多く、正常な思考が保たれている人であるならばこの人たちを敵にして犯罪を起こそうとは思わないだろう。イベントがあるのは代官山unitの地下2Fや地下3Fで、壁は僕が手を叩いてもコーンコーンと音が響き渡るわけではなく、とてつもなく鈍く重い感触であった。これは当然防音のためであって、周りの住民に迷惑をかけないという社会的行為なのだろうが、そんな壁に三方向から囲まれたならば精神的な窮屈さを覚えてしまって、ここから無事に帰られるのだろうかという不安が一瞬よぎっても仕方がないと思った。


実際のフロアには色んな客層がいた。いかにもHIPHOP聞いてそうな格好してるような兄ちゃん(こんなことを書いてしまうこと自体僕にはいささか不本意ではあるが確実に僕の日常で見る人間に占める割合に対しては人数比が高いのだ!)、会社帰りのネクタイ締めた会社員、そこらへんの街を歩いてそうなカップル、30代後半ぐらいに見えるおばちゃん、音楽を楽しみに来たのか・男を探しに来たのか・酒を楽しみに来たのか・雰囲気を楽しみにきたのかわからない女集団(中には比較的露出の激しい女もいたが、僕とは空気がかけ離れているのを強く感じた)、などが僕の印象に残った。僕の考える「色んな客層」がこれぐらいの表現なのかと思うと何ともいえないが、普段から街行く人を見ている時に、僕が各々または僕自身の中のグループ分別といったような行為を行っていないことを実感する。ただ、男女比は医学部並み以下だったということを書き加えておく。


 最初に観たのはオロカモノポテチだった。新人のMCらしい。まあ、こんなもんか、というのが感想の本音だろうか。セミをいっぱい食べるラップを聴いていたら、僕の胃の中にセミが溢れたような感覚になって吐きそうになったのを覚えている。実際は夕食をおなかいっぱい食べたあとやビールを一気に飲んだ際に僕によく認められるげっぷだったかもしれない。
 次に観たのはあるぱちかぶと。白シャツネクタイにチューリップハットと、どこかしらスナフキン的な雰囲気を漂わせたMCだ。彼はThe Reservoir Voxxの一員でもあるらしく、eccyのCDで一時はまっていた「monochrome searchlight」が印象的だったので楽しみにしていた。実際、彼のMCがこの日一番かっこよかった。大音量がかかるクラブでは、特に低音やドラム系の音が耳障りなほどに(それが良いって人も多いとは思うが)聞こえてくるので、トラックは際立つ印象を受けたのであるが、MCは本当に個性が出るなあ、というのが僕の印象だった。MCは、ある意味劇中に出てくる俳優のようにラップを奏でるが、その雰囲気が少し素っ飛ぶというか、客との距離感が開いてしまうと非常に滑稽に映ったように思えた。(特に自分はなのるなもないにこの日距離感を特に感じた)そんな中で一番しっくり来たのがあるぱちかぷとだった。そのあとは、三人組みのMC(名前は忘れた)、環ROYを観た。この日の中で一番人がフロアに溢れていた。前者は、なんか楽しくラップを歌ってたのでこっちも楽しい気持ちになった。環ROYは結構有名なMCっぽいのだけれど、いまいち分からなかったなあ、でも周りは盛り上がってたかもしれない。


 ここらへんで、僕は猛烈に眠くなってしまった。部活の後に酒を飲み、眠かった。昔、ライブで友人がグデングデンと寝て気持ちよさそうにしてたのを思い出し、座る場所を探し寝た。音は当然うるさかったので、眠りに入っても自分が寝ているのかよくわからない状態が続いた。僕が覚えている光景は、フロアに降りる階段の側でずっとステージを見ている綺麗そうな一人の女性の後姿だった。その女性は何人かの女性に声を掛けられていたが、それを全て断り、音楽を聴いてもリズムに乗ることもせず、ただただステージ場をずっと眺めていたように思う。一時間半ぐらいたっただろうか、目が覚めるとDJ MICHITAが終わっていて(!!!)、eccyのライブも始まっていた。女性はどこかへ消えた。MICHITAといえば、MJPの人だし聴きたかったけれど、眠れたからいいやと思った。


 eccyはかっこよかった。何がいいかっていうのは上手く表現できないのだけれどね、オリジナリティを持ってるなとは思う。いわゆる人を見て「こいつなんかもってるな」っていう感覚。気持ちよかった。
 そのあとは降神を観た。降神は二人のソロも含めて僕の中ではCD上の人物でしかなかったから、とっても楽しみにしてた。でも、友人の言ってた通り期待通りのものではなかったかなあ。とにかく、なのるなもないの方が全然印象が違った。変に自信満々と言うか、、、、好きになれなかった。志人はやっぱ良いなって思ったけれど、曲の語りかけの感じが完全に途中会場から一人歩きしてどっか行ってしまった気がして観てられなかったので、後ろのほうに行って友人と話していた。そして、最後にolive oilを観た。これは文句無くかっこよかった!彼のトラックはEL NINOやbig joeのアルバムで聴いていたのだけれど、あのドクドク来る感じの音が脳みそまで浸透して眠気も吹っ飛んだ!


 そんな感じで疲れて帰った。本当に楽しくて嬉しかったのだけれど、足の絶望的なむくみ具合や耳鳴り具合は確実に健康に悪いと思った。でもたまーにはこういう刺激もいいのではないかと思う。家に着いて僕の服の匂いを嗅ぐと全身煙草臭だったので、本当に嫌だった。よくよく振り返れば、店の中ではフロアとか関係なく煙草吸ってる人ばかりだったし、煙草の吸殻がそこら中に落ちていた。パチンコ、ゲーセン、ライブハウスなど、こうした娯楽場では喫煙者と禁煙者の力関係が逆転するのは何故だろうか?こうした娯楽に興じる人に有意に喫煙者が多いのだろうか?そこらへんは非常に興味深いし、嫌煙家の僕としては嫌煙家の権利を主張したいのである。


 次は時間があれば、tha blue herbあたりを見に行きたい。