加藤眞三「患者の生き方〜よりよい医療と人生の「患者学」のすすめ」




現・慶應義塾大学看護医療学部教授・加藤先生による著書。誰もが、自分が病気になった時に思うであろう「良い医者に診てもらいたい」「良い医療を受けたい」という気持ち。時代変化に伴う情報化社会において、頼りになるのは雑誌のランキングか?自分の名声を強調する病院がいい病院なのか?一体どうすればいいのか。患者さんに自己決定を強引に押し付ければ医療者はそれでいいのか?そんなことが全ての患者さん、もしくは将来なる可能性のある全ての人たちのために書かれた本。加藤先生の長年に渡る消化器内科の経験を元に、決して医者として奢ることなどなく、患者さんや他の医療関係者の立場から書かれた文章は、きっと強く心に響くことは間違いないだろう。


加藤先生には、自主選択授業においてお世話になった。その時先生がおっしゃっていたものを、再び本の中から出てきては思い出させてくれる。やはり、何より人間的でありたいということだ。先生の自分の臨床経験を通した正直な告白(「卒業間もない頃は、検査→結果→診断だけを診ていた」)などは、本当に印象的だ。やはり僕は先生のいう人間的・科学的双方で高いレベルになりたい。授業で辛い経験などをご自分で話して下さった時の先生の表情は僕の頭にずっと残っている。単純に良い先生に出会えたと思った。


一般人に対しては、「病気」に対する指針を与えてくれるだろう。僕自身はきっと将来的には医療関係者なのだけれども、そんなことには関係なく医療関係者にも純粋に読んでもらいたいと思うし、価値があるのだと思う。自分が学生として先生に知り合うことができたということは、とてもとても良いことだったのかもしれない。