東中野 修道、藤岡 信勝「『ザ・レイプ・オブ・南京』の研究―中国における「情報戦」の手口と戦略」




いやー怖い怖い怖い。マジで何が真実なのよ。自分は教科書で「南京虐殺」はあったって習った。でも、それが色々な論争として発展していることさえ知らなかった。アメリカでアイリス・チャン『ザ・レイプ・オブ・南京』なんて本が出版されているなんてことも知らなかった。それにしても写真までが作り上げられてる手法なんてホントに驚いたよ。これはいきなり与えられたら信じちゃうよなー。視覚的手段なんて、全然思いつきもしなかった。文献なんかも、なんかあればそれを虱潰しにしたりすることはなくてただ単に信じてしまうことが多いものだ。


それにしても、この本読んでてうちの学部が思い浮かんだのは最高に皮肉なもんだったなー。証拠のない憶測とそれに対するイメージ、視覚的情報をすり合わせて作り上げてしまうイメージ。この本読んじゃうと一瞬「マジで中国人嫌だわ」とか思っちゃうけれど、それはあくまでそういう情報戦に関しての人達のみであって一般市民は全然そんなことないんだろうなって思う。けれども自分の国家が馬鹿にされれば、どうしても自分がその国家への帰属意識があるものだから自分が馬鹿にされたように感じてしまうのだろう。このジレンマは、非常に自分を苛立たせる。


それにしても、情報という武器での攻撃に対して、こちらも情報で攻撃を仕返さないといけないという凄まじい現実。とても醜い現実。他に方法は無いのか。我々は戦うしかないのか。つらい。つらいよ。あーホントに人間って攻撃性の塊だなー。とても面白くて興味深くて、色んな意味で憤慨する気持ちが抑えられなくなる本だった。


参考
wikipedia南京大虐殺論争」http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E4%BA%AC%E5%A4%A7%E8%99%90%E6%AE%BA%E8%AB%96%E4%BA%89