カッコーの巣の上で




ミロス・フォアマン監督。強制労働させられるのが嫌な主人公(ジャック・ニコルソン)は精神疾患を患ったふりをして精神病院へ。そこでの精神病棟をリアルに描くと共に、主人公がはっちゃめっちゃな行動を取ることによって精神患者にもたらした出来事を描いた作品。精神疾患っていうのは本当にどうしたらいいのか、ということは30年前からあまり変わってないような気がしなくもない。実際に病院内を見たことがある機会っていうのはたったの1度しかないけれども。


どこまで人権が保たれるべきなのかはわからない。けれども、精神疾患を持つ人間性をあまりにも制限しようとする人たちの象徴とも感じられる『婦長』の首を締め付ける主人公の姿には非常に爽快感を覚えざる得なかった。同時に、数年後には僕も首を絞められる側に立つのかもしれないと思うと心が痛くてたまらなかった。何よりも、実際の映画撮影を通して、精神疾患を持つ人々がどう思ったのかが本当に気になった。世間に隔離され、同じ生活の繰り返し、刺激のない閉じた世界で暮らしたり、薬漬けだったりでちっとも精神疾患が治るとは正直思えない。


なんでこの映画が、『カッコーの巣の上で』なのかなんて全然わからなかったし、結局上に書いたような精神疾患を持つ人間を語るのが僕の本意ではない。そんなことよりも、ジャックの名演技を含めて出演者の生き生きとした人間性の表れや解放にただただ、心から感動した。結末は涙が止まらなかった。