小沢健二「Ecology Of Everyday Life: 毎日の環境学」




小沢健二の5thアルバム。四年ぶりのリリースとなるこの作品には、少なからず様々な人が期待してたであろう。もちろん、自分もそんな“オザケンフリーク”の一人である。


フルートが列車の汽笛のように響き渡って、一気に音楽が広がる。前作「Eclectic」のような力強いリズムに、ジャズちっくな音だったりテクノっぽい音だったり様々な音の融合によって広がりのある音楽となっている。「Eclectic」と同じ音を含ませるのは、一体どんな意図があったのか。無意識が創造させたのか。前の作品も、一種の「通過点」ということか。「究極は究極と思ったところで究極ではなくなる」とか「それでもその時代の到達点としての指標を残せる」だとか、そんな「美味しんぼ」の言葉を思い出す。そんなことは何より自分はこの弾けるようなドラム音が大好きだからそれでいいのだ。


前のアルバム「Eclectic」がかなりの名盤だと気づいてしまった今となっては、もちろんこの作品は物足りない。けれど前作を一種の完成系だと捉えると、これはまさしく新しい第一歩なのだろう。しかし如何せん「声」という不思議不思議に満ち溢れた楽器の使用を止めてしまったのが残念にならない。声が聞きたいよ。聞きたいよ。聞かせてオクレヨ。


ゆったりとした明るい午後に、本でも読みながら流しておきたい優しい作品だ。