syrup16g「パープルムカデ」




syrup16gの初マキシ・シングル。彼らはメジャーデビューしてから「coup d'Etat」「Delayed」「HELL SEE」とシングルを出さずにアルバムのみをぶっ続けに出した彼らの商業的目的を無視した手法は、彼らの音楽と同じように自分に大きな衝撃を与えた。この衝撃は音楽のかっこよさをさらに一段とカリスマ的なものとして自分の中に印象付けたのだ。だからこそ期待した作品。


さて、肝心のこの内容だが、タイトル名の①「パープルムカデ」は、気持ち悪いムカデのPVが印象的。これはシンプル、かつ大胆なややストイックな演奏が一層際立たせる曲だ。②「(I’m not)by you」はアコースティックなメロディーにつらい歌詞が身にしみる。③「回想」はアルバム「Mouth to Mouse」にも収録されていて、アルバムの方がエフェクトが誇張されていてかっこいい。不思議な空間に連れて行ってくれる曲だ。④「根ぐされ」これは内省的過ぎて、それを通り越し、さらに+への変換を感じてしまう。


「パープルムカデ」や「回想」なんかより、ややアコースティックな他二曲の方が自分にとっては心に染みる。「根ぐされ」の後半部のノイズは圧巻。このどうにでも取れるノイズや五十嵐の歌詞などが、聴く人にとってそれぞれの「syrup=甘さ」をまさに引き出させているのではないだろうか。と、かっこよく言ってみたものの、そのsyrupは人によっては非常に苦いものともなるのだからまた驚きだ。