the Flaming Lips「The Soft Bulletin」




the Flaming Lipsの5thアルバム。「Clouds Taste Metalic」の頃とはかなりの方向転換、特に彼の音楽の中核をなしていたように感じるギターワークの減少、これを残念に思ったファンも少なくはないだろう。プロデュースは同じDave Fridmannなもんだから、彼の特長とも言いえる特殊な‘ドラム音’はかなり精練されたものとなってる。①「Race For The Prize」は星が流れるようなメロディーで至福の時を与える素晴らしい名曲だ。そして続く曲はMercury Revを連想させるような、様々な楽器を使ったオーケストラ的音楽となり、夢の世界を広がらせている。⑤「Buggin'」なんかも聞いてて気持ちいい。


といっても今日久しぶりに聞いてみたんだが、演奏はそこまで構築されていないのでMercury Revよりは引き込む力は弱く、ややそういった意味での魅力は自分はあまり感じなかった。そこに逆に完成されすぎなてなくてよいと言う人もいるのだろうが。①「Race For The Prize」を聞いた瞬間は、ゾクゾクっと来て感動したのだけれども、他は何かネジが足りないような、不満が胸に残る。昔はもう少しかっこよく感じていた気がしたのだけれど。前の作品や後の作品を聞いて色々知ってしまうと、この作品は①「Race For The Prize」しか印象に残らない。


でも、歌が下手なのに聞かせてしまうのはやはりすごい。the Smithsモリッシーthe stone rosesイアン・ブラウンart-school木下理樹、そしてthe flaming lipsのWayne Coyne。彼らはバンドという魅力が歌の上手さでのみ構成されていないことを自分に存分に示してくれた。そんなある種の‘人間的魅力溢れる声’に自分ら一部の人間は魅せられ、引き寄せられるのだ。下手も一歩違えばまさに上手なのだ。