重松清「トワイライト」




この日の夜に読み終えた作品。彼の作品は気軽にサーっと読めるかなあと気軽にセレクト。
時は2001年、39歳になった同級生たちは懐かしの小学校でタイムカプセルを開こうと再会する。その小学校は廃校となり、当時彼らが子供だった頃、そこは希望、素晴らしい未来に満ち溢れた土地の象徴であったのだが・・・・。
小学生の頃のキャラクターは、見た目から想像できないほどになってしまった。背が大きくなってコンタクトになり会社をリストラされることが決定した「のび太」、背がみんなに抜かされ仕事・家庭がうまくいかない「ジャイアン」、ジャイアンと結婚した「しずかちゃん」、養護学校へと進み何にも変わらない「ドラえもん」、こんなドラえもんになじり合わせた現実との差異は非常に興味をそそる。さらにはそこに、もう未来を考えることができない肝臓の病気の杉本、さらには独身で独り生きてきた淳子。彼らの思いが交錯する。


誰もが子供の頃、自分の可能性・明るい未来への憧れを持っていただろう。無限の可能性、それを信じてやまなかった自分。確かにそんな自分が、自分の中にも存在していた。そして、成長とともに現実を知っていってしまうのだ。そんな黄昏=トワイライトを描いた作品。相変わらずスラスラ読めて、でもつらかった。結構ひどいことが起きるんだけど、そんなひどいことはあんまりひどく感じない、つらい作品だった。胸のなかには、なんとも言えないやるせなさが残る。それでも最後の未来への決意、提示する希望、それには感動した。


みなさんはタイムカプセルを埋めるとしたら何を埋めますか?