サニーデイ・サービス「24時」
彼らの5thアルバム。二枚組みで80分以上にも及ぶ大作品。名曲が並ぶ代わりにその心への響きの代償として何か暗い気持ちへとしてしまう、ある意味問題作。曽我部さんの声の中でも何か特別な響きをこのアルバムを聴いているうちに覚えてしまう。。
①「さよなら!街の恋人たち」はまさしく幕開けにふさわしい。ファンキーに軽快に流れていく。②「果実」や④「月光荘」は美しいギター音が響き、③「今日を生きよう」は軽い曲なんだが重く感じてしまう。⑥「シルバー・スター」70年代風ポップだ。母親もこれを聴いて「私の若い頃みたい」ってまさに言ってた。⑦「黄昏」⑧「経験」はギター音とともに声がより心に響く作品。⑨「カーニバルの灯」カントリー調。サビなんかはどっかで聴いたことあるような、何か懐かしいメロディー。⑩「ぼくは死ぬのさ」ある意味問題作。ジャガジャガギターに単純なリズム隊、変態声。今までの彼らからは想像できない・・・・。⑪「堕天使ワルツ」昔のヨーロッパを思い起こさせ、とっても良く出来た作品なんだが悲しい映画を見てるような気分になってしまう。⑬「太陽の翼」ピアノに合わせた壮大な音楽が夕日を思い起こさせる作品。⑭「4月18日のバラード」終わりに向かう高まり、ここまで辛抱強く聴いた人の快感だろう。⑮「24時のブルース」10分31秒、超名曲ブルース。そして二枚目、⑯「ベイビー、カム・ヒア組曲」⑮の延長上にある感動の名曲。
このアルバム、相当聴きたくならないと聴けない。生半可な気持ちで聴こうとすると途中で耐えられなくなって聴くのをやめてしまう。それだけ長くて重くて詰まってる作品。それに⑩〜最後にいたるまでの「夜」的な流れが暗すぎてつらかった。儚いアルバムだ。これは絶対にサニーデイ・サービスを最初に聴くのに適した作品ではない。しかし、最後まで頑張って(聴きたい意識を持って)聴いたとするならば素晴らしい感動が待っているだろう。最初は自分にとって全然全く受け付けない、完全に無理な作品であった。彼らの素晴らしい意気込みがこの作品に包まれて入るが、これは逆にその重みにつぶされてしまう人も多いのだと思う。そんな不思議な作品がこの「24時」なのである。