いきなり母親が何者かに殺された。自分たち家族は、とてつもない悲しみに浸る暇もなくただちに犯人捜査へと乗り出した。父親の運転で、捜査に乗り出す。近くのダイエーに聞き込みへ向かう。そこでとてつもなく重要な情報を自分と姉は入手し、最上階から階段を下りて父親の元へ急いで向かう。しかし、そのとき犯人グループと思われる人に見つかり、自分たちは近くに止めてあった自転車に乗り込み、必死で逃げ始める。ある程度距離ができ、逃げられたので父親に電話する。すると電話に出たのは父親ではなく、犯人グループと思われる人であり「おい、おまえ、今どこにいるんだ?」とドスの聞いた声で聞いてきた。自分はびっくりして電話を切り、姉ともう帰るばしょなんてどこにもないことに気づき途方にくれた。そして、犯人グループが追ってきたので、自分と姉は必死に自転車をこいだ。一体どれだけこいだだろうか。それはまるで「疾走」で主人公が走っている姿のようだった。ひたすらこぎ続けた。そして、山奥まで逃げ、夜になりどこにも寝る場所なんてないことに気づく。「あーこのまま死ぬのか」自分は思った。そのときだった。50代ぐらいの。。。もう自分の死期を悟ったかのようなおばさんが、我々に手を差し伸べた。

 そのおばさんの家に行き、自分たちは毛布に包まって寝た。人生の中でこんなに安心した睡眠は初めてだった。朝、目覚めると赤井秀和風の男が我々の前に現れた。彼は「これをもってでていってくれ」と言い、封筒を差し出した。その封筒には「百万円」と表がきがされていたが、実際の厚さは薄っぺらくてどう考えてもそんなにあるとは思えなかった。中を見ると、夏目漱石が4人自分に不気味に微笑んでいた。そして彼は言った「人生そんなに甘くねーんだ。おまえらの面倒を見てやれるほど、うちには金はない。」そして、再び家を放りだされた。もう、犯人に追われている自分には帰る場所なんてなく、存在する場所なんてないんだろうって思った。そして絶望にひれ伏し、目からは自然に涙が零れ落ちていた。

 顔をあげると、自分以外の、なぜか殺されたはずの両親も含めて家族全員が自分の方を見て優しく笑っていた。


 目覚めると自分の顔は考えられないくらいの鼻水と涙で、くしゃくしゃになっていた。