小沢健二「ある光」




自分はシングルとかあんま聞いたりしない。そのアーティストの本質だとか、具体的中身を知ることが中々判断しにくくなるからだ。シングルはそのアーティストを少しでも知ってもらえるように設定されていて、やや自分の音楽のスタイルを崩して聞きやすい方向に持っていっている。もちろん、その影響によってアルバムを聞いてみたくなったり、色んな人に自分の音楽を知ってもらえるたりするのだから悪くはないのだろうが、シングルでアーティストを判断してアルバムで全然ピンとこないなんてことをみんな絶対一度は体験してるんだと思う。中には、言い方が悪いが大衆受けするというか、みんなの心になんとなーく残りやすいメロディーを世間体的に作らされることによって才能が開花する人もいたりしてもうわけわからないんだけどね。


で、このある光。これはオザケンのシングルなんだけど、彼のシングルにはアルバムに入ってないものが多くて自分はもちろん聞いたことなくて、でも他の作品とか好きだし聞いてみたかったから借りて聞いたのである。自分は衝撃を受けた。こんな名曲が全く持ってアルバムに含まれてなくて埋まってることもあるのだと。メロディー、ボーカルによる流れる景色と時間、そこへ見え隠れするような光。光が見えそうで見えない、けど見えると信じて進む、そんな強い気持ちを感じさせてくれる。


『見せてくれ ビルの先までとどく木に
 見せてくれ 心の中にある光
 この線路を降りたら すべての時間が魔法みたいに見えるか?
 今そんなことばかり考えてる なぐさめてしまわずに』



素晴らしい。もうこれでもかってくらいかなり大好きな曲。