BECK「Mellow Gold」




BECKのデビューアルバム。これを聴かずして、BECKを少し聴いた気になってた自分が恥ずかしくなるくらい衝撃的だった。これこそが、彼の真髄だったのではないかね。


①「Loser」はやる気なさそうなギターと、シタール?の音でのリズミカルかつ、珍妙な展開は最高に爽快で気持ちいい曲だ。この一曲だけで、充分このアルバムの魅力に取り付かれてしまった。他にも、哀愁漂うブルースのような曲もあれば、⑤「Soul Suckin' Jerk」⑦「Sweet Sunshine」のように重厚ロック風サウンドも溢れ出す。(といっても⑪「Mutherfuker」の暴走したような感じに比べれば大したことないのだけれどw)ノイズみたいな音もあれば、気持ち悪い声を出したり、おならみたいな気持ち悪い音もあるわ、狂ってる。それでも⑧「Beercan」は楽しくて仕方なくなる曲だ。そしてアルバムの最後の最後まで、彼は遊び心満載で終わらせてしまった。こんなやりたい放題でかっこいいなんて、本当に卑怯!


音は、どっかしら初期の「pavement」みたいな安っぽさというか、いい意味でショボイ(というのは全然イマイチな表現だけれども)感じを与えるし、全然違うのだけれど何かしらの共通点を感じる。よく分からないけど、こういうのって感動とは違うのだけれど、単純にかっこいい。何より凄いのは、彼のアルバムを僕は結構聴くのだけれど、何枚聴いてもまた違った発見があって、音楽の幅が広いことなんじゃないかな。そんな中でも、もう二度と作れないような(他のアルバムが作れそうと言っては失礼だけれども)、唯一無二の不思議な魅力を持つのが、まさしくこのアルバムだと思う。