Cornelius「Point」




Fantasma」から四年後、2001年の作品。最近勉強中に何を聴こうかというのを非常に迷って、コレ、何かおかしい、じゃあ次はコレ、というような作業をipodで自分は繰り返してしまうことが少なからずあった。そんな中で偶然再生したこのアルバムだけは全くそんなことはなくて、そんなことは全く予期していなかったので非常に嬉しかった。そんなこんなで、勉強しながら凄い聴いてしまった。「Fantasma」は自分にとってかなり実験的要素が高く、それで音の世界としての面白さとか魅力を表現してたように感じられた。だから「Point」を最初に聴いた時は、メロディーとか様々な音という部分ではとてもシンプルに感じてしまって、それでどこか物足りなかったのかもしれない。それが勉強としての集中した「空間」を意識したおかげで、このアルバムを好きになれたと思うと、繰り返すようだけれども本当に嬉しくてたまらない。


前作のような派手な感じやキラキラと目立って主張するような音楽では全くなくなったのだけれども、このCDで空間音楽としての小山田圭吾、という別の姿をはっきりと示してくれたような気がした。左右から流れる立体的な音はもちろんのこと、そこに水、ガス、森林や鳥や狼の鳴き声などの自然音を取り入れることによって作り出される空間は、自分自身の存在そのものをどこかふわふわと曖昧にさせる。人工的音楽で表現される自然的音楽という、今までとは一味違った表現方法によって、自分は錯覚してしまったのかもれない。このCDを聴きながら都会を歩くと、CDの音以外にヘッドホンからは様々な音が入っているということに改めて気づく。それらは人間の足音やおしゃべり、車や電車の音・・・・というような人工的な音ばかり。けれども、そうした人工音を全て飲み込み、『音』としての空間を無限な多様性の元に構築していく可能性をこのアルバムは持っていると思う。