花とアリス




岩井俊二監督。花(鈴木杏)が落語部の先輩(郭智博)を好きになってしまい、ひょんなことから記憶喪失として付き合い始める。さらに花の親友のアリス(蒼井優)を含めた三人の心の細やかな動きを表現した映画。物語上では単なる青春ものだけれども、映像と音楽に自然と引き込まれた。


やはり、この映画での一番のシーンはアリスのバレエ(雨の中と最後のシーン)と言いたいところだけれども、花がカメラに顔近すぎだよ!!!!ってくらい近くてリアルに顔をくっしゃくっしゃにしながら泣いて、嘘をついたことを告白するシーンも強烈に良かった。家があんなに綺麗に花だらけで、名前も花、そんな彼女の「泥臭さ」がとっても心に響いて泣けました。海岸にトランプが舞うシーン、桜の木などなどもやはりとても綺麗だった。


それにしても、蒼井優の透明感、不思議な魅力。この映画はやっぱり彼女の存在感があまりにも大き過ぎた。好き嫌いに関わらず、知らずに眼がいってしまうはず。デートシーンなんかは、当然といえば当然だが、テレビの恋するハニカミ!なんかより全然頬が弛んで、むず痒くなってしまい僕は罪悪感を覚えざる得なかった。あのトランプと、中国語のシーンは本当にやり過ぎだろってくらいの演出だけれども、実際ドキドキッとしちゃいました。ごめんなさい。

カナリア




TSUTAYAの返却日間違えてて、「花とアリス」と一緒に自宅オールナイト。うるさくして両親ごめんなさい。
塩田明彦監督。カルト教団ニルヴァーナが犯罪により崩壊、そして児童相談所に預けられた主人公の少年(石田法嗣)。彼が脱走して、母親と妹を探しに行く物語。


カルト教団っていうと、オウム、やはり考えるのはオウム。その背景はなくしては語れないのかもしれない。元信者の苦悩、自分自身で決めるという言葉、響くものはあった。途中、繋がりがよくわからないようなシーンが結構あって眠くもなって混乱したけれども、最後の手をつないで「生きていく」と言ったシーンから、エンディングの三人で歩いていくシーンは、向井秀徳の音楽と合わせて鳥肌もんだった。こんなに向井さんの音楽をかっこよく思ったのはいつ依頼だろうか。本当に痺れた。


「子供は親を選べないんだよ!親は子供を選んでいいのか!」と叫ぶ谷村美月のシーンはズシリと心に刺さる。先日友人と「子供を私大に行かせるにはどれぐらいの収入が実際は必要なのか」ということについ話したのを思い出した。そういった不条理な制限は、もちろんそういったことやレベルにおいて発生するものじゃないけれども、そうした出来事に対して僕だったらと思うと単純に心が痛くなるのだ。


とにかく、観終わって生きてるっていいなと思った。

舟状骨骨折になった人のためへの闘病体験

自分は昨年の三月、スノーボードにより、左手の手首を構成する骨の一つ、舟状骨を骨折した。この舟状骨骨折はよく手を強くついてしまったり、サッカーのキーパーが強いボールを受けたり、お相撲さんの張り手の際になったりするものだ。これは整形外科の分野であるが、以下の点で診断がしにくい。


①レントゲンの撮り方によって、骨折かどうかわからない。
②実際に写る撮り方をしていても、骨折後に日にちが経たないと実際にわからない場合がある。


そして、自分は靭帯損傷と誤った診断を受けて固定を受けた。地元の開業医レベルでは、十分あり得る誤診であるそうだ。骨折の誤診に関する訴訟は、アメリカで一番数が多いという話も耳にしたことがある。しかし、一ヶ月近く経っても痛みは完全に引かず、自分はまあテーピングすれば大丈夫だろうと判断し再び剣道を始めた。その後も違和感はずっと残ったままであった。五月になり、どうしてもおかしいということで、大学病院を受診。そこで、舟状骨骨折・偽関節という状態になっていることを知った。偽関節というのは、骨と骨が完全にくっついて再生することなく、あたかも間接のように働いてしまっている状態である。この状態の特徴は自分の感覚としては以下のようなものがあった。


①日常生活を行う上では何の問題もない。
②しかし、剣道を行う上では強い痛みが出る。
③握力を測ると本来は両方とも40〜程度あるはずが左は30以下と低下していた。


そこで、自分は医師の話を聞いた上で五月末に手術を受けることを決心する。舟状骨骨折は、骨折のすぐあとならくっつく可能性はあるそうだが、偽関節の状態になるともうくっつかない場合が多いそうだ。偽関節の状態で1・2年以上経ってしまっているとさらに手術は困難となるという。(要は骨がくっつきにくくなるとのこと。)


実際に自分が行った手術はと言えば、ボルトを埋め込んで骨がくっつくように力をかけて、さらに骨が再生するように他の部分の骨を持ってきて差し込むというものであった。素人であるのであまり詳しいことはいえないが。


その後の経過は以下の通りである。


(2006年)
5月30日:手術
6月:手術後三週間ほどギブスで左腕・前腕〜肘までを固定。その後抜糸。
7月:少しずつ握る運動を開始。
8月:強引に東医体に出場。
9月〜12月末:剣道を行うが、度々痛みがひどくなるので胴打ちはあまり行わず無理はさせていない。
現在:握力は左30代真ん中程度まで回復、完全に手術前と同じ状態とは当然いえない。


医者によると骨自体はもう完全にくっついているが、まわりの組織の問題で痛みが出るとのことだ。自分は地元の接骨院において周りの筋肉のマッサージなども受け、サポートすることで現在もまだ痛みと闘う状態である。完全にと言わずとも、自分の納得できる状態に回復させるためにもっともっと頑張っていきたいと思っている。


以上は、自分の体験に基づくものであり、素人であるので決して、特に病気に関しては主観的な感覚であるので、あくまで参考程度にして欲しい。偶然、同じような状態になっているような人の役に立てばいいと思う。


・参考記事:某新聞への手術体験に関する自分の寄稿


 五月の末頃、僕は生まれて初めて手術を経験した。舟状骨と呼ばれる、手首の骨の一つが偽関節になっていたのだ。当初、地元の医者によって「靭帯損傷」と診断された。しばらくすれば、簡単に治るものと思っていた。痛みが段々と消えてきたので、部活の練習を再開していた。何かがおかしかった。その疑いが限界に達し、再び整形外科に訪れたのは二ヵ月後であった。


 正直手術は大げさなものではないと思っていた。手術が大変と普段いくら耳にし、教えられていても、その実感が湧くことはなかった。しかし、三人称から一人称への変化によって、手術に対して僕は全く違った感覚を得たのである。


 手術前日から絶飲食を強いられる。そして、手術当日は頭の中が朦朧とし、自分がどうなるかとの不安ばかりが募る。しかし、必死に執刀医の先生を信じて手術に望むしかなかった。手術室で、僕は全身麻酔をかけられ、気がつくと入院中の病室のベッドで横になっていた。咽喉が猛烈に痛み、咳き込む。口には酸素マスクのようなものがされている。手は吊るされて感覚が遠く、ズキズキとした痛みを感じる。


 さらには、看護師から八時間寝ていることを指示された。(導尿はせず、トイレに行くことも禁じられた。)そのため、尿意と様々な痛みで頭がおかしくなりそうであった。この時の感覚は、今考えただけでもぞっとしてしまう。退院後も、痛みに加えて、微熱・ダルさ・吐き気などが一週間近くも続いた。医学生であるのに、こんな症状があるとは知りもしなかった。


 また、手術前後に、たくさんの励ましの言葉を頂いた。このような言葉の重みも僕は今まで知らなかったに違いない。他にも以前は見えていなかった光景がたくさんあった。「経験が人間に与える影響は、実はとてつもなく大きかった。様々な経験を積み上げて、振り返ることは、将来自分独自の生き方を得ることにつながるのかもしれない。」そんな考えが、この文章を書きながら、僕の頭に浮かんだのだった。