小島麻由美「セシルのブルース」




小島麻由美の1stアルバム。最初に聴いた時に僕が知っている小島麻由美よりも、やけに若々しくてキャピキャピとはっちゃていて元気な感じを受けたと思ったらデビューアルバムだったみたい。インパクトは「愛のポルターガイスト」を聴いた時に負けず劣らずって感じ・・・・・つまりは衝撃的だったわけですよ!


ブルースの中でおもちゃがピコピコ踊っているような不思議な雰囲気を醸し出す、完全に彼女の世界が構築されて素晴らしいポップワールド!僕はひたすら、①「おしゃべり!おしゃべり!」のボコボコ叩かれたドラムから彼女の叫び声が聴こえるとこりや、②「セシルのブルース」の魔女のようなバイオリン?メロディー、④「恋の極楽特急」のまさに特急列車に乗り込んだように流れるサビの部分、⑦「蜂蜜」の怪しげなフルート、⑧「結婚相談所」のヘンテコ口笛、⑩「皆殺しのブルース」の残酷で最後に突き落とされる感じがとてつもなく気に入ってしまったもので、そういう理由でこのアルバムをたくさん聴いてしまった。


さらにこれだけの世界が、たった30分間で展開されるというのは非常に新鮮で、こんな気持ちになったのは、pixiesを始めて聴いた時以来かもしれない。僕は今日明日にでも他のどっかの誰かの何かのアルバムを聴いたときにはきっと間違いなく「短くて物足りない」なんて発言を、それはそれは恐ろしいほど容易に、蜂の巣の穴の数以上に連呼することはあるのだろうけれども、これは「短いっていいな」そう純粋に思わせて十二分に満足させてくれるアルバムなのである。

山本精一「EVE」




山本精一のソロの何枚目かのアルバム。ジャケットは、裏面に綺麗な花、表面には何やら葉っぱの中央に『目』があるみたいで、それは僕を睨み付けて果てしない空間へと引き摺りこもうとしている気がしてならず、吸い寄せられてしまう。


『僕の脳内宇宙をそのまま音にしたかんじです。何かにインスパイアされたり、下書きにしたものではないです。自分が考えるリズムというかグルーヴを脳からダイレクトにアウトプットしたもの。グルーヴとして成り立つギリギリのところ。』
山本精一談)


とのことであって、グルーヴ・・・うーん、グルーヴ。『電気グルーヴ』を『電気グループ』と勘違いしている人なんかもいるんじゃないか・・・これ、知った人がいたら非常にショックだと思うけれども彼らにとっては正しく読んでもらいたいはずだよ。そういえば彼らの「Shangri-La」がヒットした時、僕は彼らのアルバムを借りて、全然意味不明な音楽ばっかりで眩暈や吐き気を覚えたのだけが心に残っている。今聴いたら僕は彼らを受け入れられるだろうか。話がそれてしまったが、名前とそアイデンティティーはどうしても切って切れるものじゃない、名前や曲名の呼び方を僕なんかは結構ついfuzzyにしてしまうけれども、それをある友人は大切にしているように思い、僕はその重大性を感じてしまう。名前・・・・identity・・・・固有概念・・・・解釈・・・・感じ方や感じるもの・・・・様々な出来事の言葉や起こりを抱合する音楽とこのアルバムのことを言おうか。rovoボアダムスに見られる空間の広がりをさらに自由に彼なりに表現したのがまさにこのアルバムなんではないかと思う。


とまあ、無限にすごいチックを少し表現したかったように思うのだけれど、実際は似たような音が結構繰り返されて、とてつもなく退屈な状態に陥って途中で聴くのをやめるのが八割方なのだが。とにかく、空間音楽としての居心地や、これを聴きながら座禅でも組んだら(正常な心が生まれるかは別として)どっかに飛んでいけるような気がするのでそのうち試してみようかと思う。